作者の姿勢に疑問
内容については面白いです。着眼点が大変面白いです。
ただ本文の記載方法にあまりよくない印象を受けます。
具体的には洋書からの引用に関しては本文中の引用箇所に引用書籍・引用箇所の記載があるにも関わらず、和書からの引用に関してはあたかも自分が取材したように記載されています。
(引用した和書は巻末のリストには一応リストアップされています)
著者のアメリカ留学時代の論文ということでしたので、提出先に引用がばれる恐れがある洋書については誠実に記載し、ばれる恐れの少ない和書に関しては盗用したのではないかとかんぐってしまいます。
着眼点や比較方法がいいだけに残念です。
面白いです。
なぜ日本軍の兵士はバンザイ突撃のような非合理的な行動を取ったのか。 天皇陛下やお国の為に進んでやった。 上官に命令されて仕方なくやった。 このような説明がよく見られるのではないでしょうか。 しかし自分が兵士だったと考えてみてください。 上記に挙げたような理由で突撃できるでしょうか。本書で想定している人間は「普通の人間」です。 私たちと同じ様に、怒り、悲しみ、喜び、楽しみ、苦しみ、 悩み、飢え、希望、絶望、恐怖などの感情を感じます。 そのような普通の人間が、いかにしてバンザイ突撃を合理的と判断するようになったのか。 本書で丹念に分析されています。
すぐれた社会学的分析
規範と行動、一般社会と軍隊、公の指揮系統とインフォーマル、その他いくつかの対立軸を意識しながら、米軍兵士と日本軍兵士を分析している。米軍兵士と日本軍兵士に共通していた事、また相違していた事をよく論じている。素材はガナルカナルで戦った両軍兵士からのインタビュー。ステレオタイプによらない分析が興味深い。例えば、死を賭しての銃剣突撃は無意味な突撃ではなく、本来有効となりうべく方法だという事もわかる。 論理の組み立て方は、刈谷氏の知的複眼思考法に通じる。ともにアメリカの社会学の大学院で学んでいる。 個人的な感想だが、1代目の社長が作り上げたすぐれたやり方を、時代が変わってもそのままその形を踏襲して2代目社長が失敗するという事と、当時の日本軍は相同である。そして同じ事が、官僚制の形だけひきついでる今の日本とも重ね合わせられる。日本の改革にこの著者の様な複眼的な社会学的視点をもちこんだほうがいいのではないか。
名著というほかありません
ガダルカナル戦に参加した日米双方の兵士に直接インタビューを積み重ね、カセットテープ200本、2000枚の記録を取ったという労作です。さらに日米双方の徴兵制度の歴史、戦場での兵士の心理学的分析など、アカデミズムとジャーナリズムにまたがる傑作といえます。「大量破壊と殺戮を今も続ける人間とは何か」という哲学的な命題を考えずにはおれません。著者に心からの敬意と謝意を表したいと思います。
Soldiering as Social Processes
第2次世界大戦において、ShilsとJanowitzは戦友たちとの第1次集団の絆が独軍兵士を戦闘行為へと動機付けていたことを発見し、戦後アメリカにおける軍事社会学の発展を大きく位置づけることとなった。一方、日本の軍事研究は政治学、国際関係論からのマクロ・アプローチが大半を占め、心理学的、社会学的視点が著しく欠如している。 この本は著者の第2次大戦の日米兵士の戦闘行動に関する研究を一般の読者にも分かりやすい形で書き下ろしたものである。読売新聞には「とうとうこういう研究が世に出るようになったか」という東大助教授による謎めいた書評をみかけたが、戦闘を一種の社会的プロセスとして分析する視点は米国では第2次大戦に端を発し、軍事社会学の主要分野として確立されている。軍事社会学を学ぶ者としては、「日本でもやっと本格的な軍事社会学研究書が出版され始めたか」というのが個人的感想。第2次大戦の日米の元兵士に対して丹念にインタビュー調査を行い、今では得ることのできない貴重で豊富なデータを基に「人間としての兵士」の戦闘行動を分析している。日米両軍の兵士が何故闘い続けることができたのか?戦友とはどんな存在だったのか?戦闘大変が彼らにどんな影響を与えたのか?これらの問いに対し著者は歴史社会学の視点から分析を与えている(社会心理学的な分析が少ないところが個人的には残念ともいえる)。M.アーチャーの理論を基に展開する分析は明快で、一般読者の知的欲求を大いに満たしてくれるだろう。作戦行動や将官に関する感傷的な第2次世界大戦回顧録に辟易としている読者にこそ、お薦めしたい日本軍事社会学の金字塔。
講談社
日本兵捕虜は何をしゃべったか (文春新書) 参謀本部と陸軍大学校 (現代新書) 日本の参謀本部 (中公新書 (765)) 続・日本人が知ってはならない歴史 甘粕大尉 (ちくま文庫)
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